白内障の原因
老人性白内障 加齢性白内障
加齢によって引き起こされる白内障は、高齢者になると誰にでも発症する可能性のある疾患です。皆さんが総称して呼んでいる白内障はこの老人性白内障(加齢性白内障)のことが多いです。
白内障とは眼球の中に存在する、カメラで言うレンズの焦点を合わせる役割を持つ水晶体が、何らかの原因により白く濁り始める病気です。この水晶体の焦点を合わせる働きは老化とともに衰えていきます。
多くは血液の酸化(サビ)により水晶体が硬化、混濁します。
水晶体は光を集め、その光を眼底の網膜に反射して、捉えている物体などの像を結ぶ働きをしています。そうして私たちに実体として見せてくれているのですが、その働きが弱まると集まった光が乱反射して鮮明な像を映し出せなくなり、物がかすんで見えたり、視力の低下を引き起こします。
先天性白内障
先天性白内障は乳児の出生直後や出生後早くから、また1歳を過ぎた頃や思春期を迎えた後に眼球にある水晶体が混濁し始める疾患です。
この先天性白内障の原因は、胎児を守る役割のある母胎が妊娠3ヶ月頃までにウイルス感染したことによりウイルスが胎児にまで影響し、先天性白内障を発症するとされています。
またウイルスなどが子宮内感染した場合の他、代謝性疾患や染色体異常、母胎疾患が誘因であるとされています。
ステロイド白内障
副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)を長期間、大量に使用すると白内障の発症率が上がることが知られています。
その理由については明確には分かっていませんが、ステロイド薬がその作用として炎症を鎮める、免疫を抑制するため生体に負荷をかけることが水晶体を錆びつかせることに繋がると考えられます。
リウマチなどで長年ステロイド剤を使用した人。また、アトピー性皮膚炎でステロイド軟膏を使用する場合、手足や体などに塗る場合はほとんど問題ありませんが、眼の回りに軟膏を塗る場合は注意が必要です。
眼の周りの皮膚は、薄く、ステロイドの体内吸収率も高いため、ステロイド軟膏が原因でステロイド白内障も起こることもあります。
外傷性白内障
外傷性白内障の原因は、水晶体が傷つくことです。バドミントンのシャトルや卓球の球などの眼窩にちょうど入るものによる鈍的外傷が多く、他にも鉄片など金属片が目に入ったり、刃物により傷ついたり、ボクシングのように激しい打ち合いによる打撲によっても水晶体は傷ついていきます。
糖尿病による白内障
糖尿病が原因で糖尿病白内障が発症するわけですが、高血糖そのものが原因で比較的若年者から急激に進行する真性糖尿病白内障と、通常の老人性白内障が合併している仮性糖尿病白内障とに分類されます。
高血糖からくるポリオール代謝経路の亢進、酸化ストレス、終末糖化産物の蓄積などが原因で水晶体蛋白が混濁するものと思われますが、その詳しいメカニズムはまだ明らかではありません。
しかし、糖尿病は血液中の血糖値が上がるわけですので、その血糖値の上がった血液が眼球内の房水を錆びさせるであろう事は容易に想像がつきます。房水が錆びれば、その房水で栄養される水晶体が錆びる事につながると考えられます。
アトピーによる白内障
アトピー性白内障はアトピー性皮膚炎の合併症として知られています。アトピー性皮膚炎はその素因を持っている人が発症させますが、顔にアトピーが出た場合に合併させることが多いようです。合併させる原因はまだ解明されていませんが、アトピー治療が長期になるほど合併するリスクが高くなるといわれています。
アトピー出現には血液の活性酸素の増加が関与しているともいわれていますので、白内障のみならず血液の活性酸素を減らす高濃度ビタミンC点滴などの白内障予防に役立つと考えられます。