「名医」あるいは「迷医」
「名医」と言うと、どのような医師を皆さんは想像されるでしょうか?
「名医はいないけれど、迷医・・・ならいっぱいいるよ!」と自嘲気味に話すドクターは少なくありません (^^;
患者さんが思う「名医」と、医師が思う「名医」とは乖離(かいり)があるような気がします。
私にとっての子どもの頃の名医は「ブラック・ジャック」でした。外科手術で何でも”スパーッ”と解決してしまう! 外科医は何てカッコいいんだろう、と思いました。「治療前」、「治療後」の変化が分かりやすいのが外科手術の特徴です。
しかし、医師になってから改めて気づいたことは、外科手術は「対症療法」なのです。病気になった原因は治せません。「根治治療」は病気になった原因を治す必要があります。外科手術が上手なだけでは、「名医」とは言えないと気付きました。悪く言うと、外科手術は「その場限りの対応」となる場合もあり、原因を治していないので、病気の再発が生じるのです。代表例が「癌(がん)」です。
しかし、長年の生活習慣の蓄積が病気の原因となっていることが殆どですから、「根治治療」は時間と忍耐を要することが多いのです。
忙しい現代生活を送っている多くの患者さんは、「手間暇のかかる治療」を好まない傾向があります。
手術で治るが、その病気の原因はどうするか?
例えば、アトピー性白内障について、長らくこちらの新着情報で連載させていただきました。
「アトピー性白内障は手術で治る」のです。若い方には、遠近両用眼内レンズを移植することで、遠くも近くも良く見えるように白内障手術で視力は回復できるようになりました。
しかしその原因となった「アトピー性皮膚炎」を放置しておくと、次の合併症が生じる可能性を残してしまいます。
手術が上手いだけの「名医」では、その患者さんの将来の問題は放置となってしまします。
シニアの白内障手術の場合も同様です。
特にアトピー性皮膚炎もないのに比較的若くて白内障になる方、年齢の割に白内障の進行が速い方、糖尿病に伴って白内障が進行する方、など、実は白内障になる原因は必ず潜んでいます。
「病気には、必ず原因がある」
私が「名医」と思うドクターは、手術したら終わり、ではなく、その後の患者さんの将来まで見据えてアドバイスや「根治」治療をご本人に伝えています。
手術後の患者さんの将来まで見据えてアドバイスや「根治」治療の対応をされるドクターを「名医」だと考えるようになりました。
しかし、実際の臨床の現場では、全身的な疾患では「内科」と「外科」が連携して対応に当たります。
例えば、胃癌を例にとります。
殆どの場合、胃の具合が良くないと患者さんは「内科」を受診します。内科での検査、”胃癌”と診断が下されると、必要があれば放射線治療のために「放射線科」、その後、手術のために「外科」受診を紹介されます。
手術が終わると、また「内科」へ戻ることになります。
全身的な治療では、一人の医師が一人の患者さんのすべての治療、管理を行いにくいのが保険診療の特徴でもあります。
「名医」というと、ブラック・ジャックのように外科医が取りざたされることが多いですが、病気になった原因や再発を防ぐ治療は内科が受け持つことになり、内科で「予防」して、術後も「再発予防」をすることを考えると、「内科の名医」の役割が重要であることがお分かり頂けるでしょう。
「内科の名医」
全ての病気は、「発症しないように予防」できれば外科医の仕事は大きく減ってしまうのです。
つまり「予防医学」が浸透すると、かなりの医師の仕事は減少すると思われます。実は、私は医師の「名医」とは、「病気を減らして、医師の仕事を減らせる医師」だと捉えています。
「患者さんが減ったら、医療機関が困るのではないか?」と、心配して下さる当院の患者さんもおられます。ですが、医師が増えていく世の中と言うのは、良いのでしょうか? 弁護士も増やさないといけないという状況があるとすると、世の中の争い事が多くなることを意味すると思われます。決して人類にとって良いことではないですよね。
少なくとも臨床的には医者の数が少なく済むのが、健康な人が多いということ、すなわち我々人類にとって良いことだと考えます。
「名医」は病気の再発を防ぎ、将来の病気で悩む患者さんを減らす力のある医師だと思います。
では、白内障の「名医」とは?
眼科は例外的に、病気の診断、薬物治療、視力 まで、一人の医師が対応できることが多い診療科です。病気の診断、薬での治療、手術まで一人の医師が対応可能です。すなわち、その眼科医の技量によっては、治療した患者さんが「医者や病院とサヨナラ」させることも可能だと思います。
白内障は患者数が多く、手術を行う眼科医も多いため、全国どこでも一定レベルの白内障手術(片眼15分程度の手術時間)を受けてもらうことが可能となっています。自宅近く(車で1時間圏内)で日本の人口の9割以上の患者さんが、殆ど痛みがなく短時間で安全に視力回復が出来る時代となっています。
15分以内で、例えば「名医」と呼ばれるドクターが5分で手術が出来たとしても、生涯において”10分”の差が患者さんの生活のレベルに大きな差となるとは思われません。
白内障になった原因に目を向けて、その患者さんの将来への対応や提案が出来る眼科医を求める患者さんは多いのではないかと思います。私は、そうした眼科医になれるように、「名医」目指して日々悪戦苦闘しています!?
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